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初回公開日 2014.10.18
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関隆志さん

 鍼灸学術団体「北辰会」代表で鍼灸師の藤本蓮風さんが各界の著名人と鍼の知恵について語る「蓮風の玉手箱」は今回から新しいゲストをお迎えします。ご登場いただくのは東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター(CYRIC)高齢者高次脳医学研究部門講師の関隆志さんです。蓮風さんとのおつきあいは20年以上で、医師として鍼灸治療経験も豊富な関さんはどのようなことを話してくださるのでしょうか。まずはご略歴から。(「産経関西」編集担当)

せき・たかし 
東北大CYRIC高齢者高次脳医学研究部門講師、医学博士。 昭和34(1959)年生まれ。宮城県仙台市出身。同63(1988) 年、東北大学医学部医学科卒業。平成9(1997)年9月~同26(2014)年8月、東北中医クリニック院長。同14(2002)年4月~同15年9 月、東北大医学部附属病院老年・呼吸器内科医員を経て同大学大学院医学系研究科 先進漢方治療医学(ツムラ)寄附講座講師、同大学院医学系研究科高齢者高次脳医学寄附講座講師をつとめ、同 26(2014)年4月から現職。主な国際活動・所属学会は、WHO(世界保健機関)国際疾病分類伝統医学部門短期顧問、ISO(国際標準化機構)第249専門委員会国内審議団体元議長、日本中医学会理事、日本統合医療学会理事、日本東洋医学会代議員、全日本鍼灸学会評議員など。

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 蓮風 関先生、本当に遠いところ、お忙しい中どうも「玉手箱」にようこそ。

 関 こちらこそ、どうもお招きいただいて、ありがとうございます。

 蓮風 先生との関わりはかなり古いですね。

 関 はい。20年以上…。

 蓮風 ああそうですね。ここ(奈良・学園前の「藤本漢祥院」)ができる前ですから。

 関 ええ。

 蓮風 昔の内弟子のS君と友人で、その紹介で来られた。

 関 そうですね。

 蓮風 あの当時のことを思うと、だいぶ鍼灸界も変わってきましたね。

 関 そうだと思いますね。

 蓮風 先代(蓮風さんの父)の和風さんも、まだ存命中でしたから、いろいろ話を聴いて面白かったですか。

 関 和風先生にもいろいろご指導いただきまして。

 蓮風 ああそうですか? どういうことをお聞きになりました?

 関 色紙(いろがみ)で治療するということが非常にショッキングで…。

 蓮風 ああ、ショッキングで…。色紙も使ったりして治療していた時代ですね。

 関 そうです。そしてもうひとつは、鍼の形状…かたちがちょっと違ってて、痛い鍼なんですね、けっこう。

 蓮風 痛い鍼…。(笑)そうですね。先生は、もともと理学部出身なんですね。

 関 いえいえ違います。

 蓮風 私の記憶違いですね。

 関 もともとは東北大の医学部を卒業して…。それで鍼灸も独学です。

 蓮風  はい、そうですね。あの当時確か、先生にお会いして最初のころ、僕が一番印象に残ったのは(鍼灸の)業界にはお互い共通する話の場があんまりないので、データを取りたい、とおっしゃっていたことです。

 関 (鍼灸界の)みなさんがおっしゃる言葉の意味が違うんですね。同じ言葉を違う意味で使ったりとか…。それに流派ごとの交流があまりなくて。

 蓮風 そうですね。

 関 ですから、これから学ぼうという時にいったい何を学んだらいいのか、それが分からない、そういう時代だったと思います。
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 蓮風 東北大の漢方内科は先生が初代メンバーですか?

 関 漢方だけの外来は、私の前にすでに一時あったんですけども、一時途絶えていまして、それで当時の教授から、鍼治療の外来もやってみろということを言われて。

 蓮風 教授の方から言ってきたのですか。

 関 私が大学に戻るときに漢方や鍼をやっていますとお話していたものですから。

 蓮風 ああ、はい。

 関 まあ、教授も変なことやらせるのが好きな教授で(笑)。じゃあ鍼治療の外来をやってみるかということで始めさせていただいたのがきっかけですね。

 蓮風 私も何人かドクターに知り合いがいるんですけど、みんな鍼灸のファンになった人は大学で、やりたかったみたいですけど、簡単にできないと…。抵抗が相当きついみたいですね。 

 関 当時は教授の方からの半分命令みたいな形でしたので、それはスムースにいきましたけど。

 蓮風 それは先生の力とご人徳ですね。

 関 ただ、やはり周りの先生たちは、全然ご存じないので、「あいつ変なことやっている」と…。

 蓮風 いかがわしいことを…(笑)。それは、どういう風にして克服なさったのですか。

 関 口でいくら「鍼治療がいいとか」「漢方が素晴らしい」と言っても、誰も信用しませんから。

 蓮風 そうですね。

 関 やはり紹介された患者さんをとにかく少しでも良くして帰すということで。実力で示そうという風に思いました。〈続く〉