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藤本蓮風さん(写真左)と児玉和彦さん(同右)=奈良市「藤本漢祥院」
鍼の知恵を語る「蓮風の玉手箱」は和歌山県岩出市の医療法人明雅会「こだま小児科」理事長で医師の児玉和彦さんと、鍼灸学術団体「北辰会」代表の藤本蓮風さんとの対談の2回目をお届けします。前回は児玉さんが医師となった環境の話題から始まりました。『HAPPY!こどものみかた』(日本医事新報社)という本やDVD『こどものみかた シミュレーションで学ぶ見逃せない病気』(ケアネット)の制作にも関わりながらも、臨床の悲喜交々(ひきこもごも)のなかに面白さを感じるとお話しになりました。今回は、その続きとなります。(「産経関西」編集担当)
児玉 本を書いたりとか、DVDをつくったりする仕事もすごく刺激的で面白いんです。両方ともすごく楽しんでやってます。
蓮風 なるほどね。
児玉 なんですけど、ちょっと(臨床とは)種類が少し…。
蓮風 違いますか?
児玉 違うかなぁと。
蓮風 先生は僕の目から見ると、東洋医学的なね、物の見方、考え方…。特に人間を見つめる目が僕によく似てると思うんですけれども、結局、臨床の中で患者さんが良くなるということは、どういうことなんですかねぇ?
児玉 先生に最初にお会いした時にそのお話をしましたね。その時はたぶん「僕が必要でなくなることだと思う」とお答えしたのではないでしょうか。医者が必要じゃなくなるっていう状態が患者さんが良くなる、治るっていう状態なんだろうなっていう風に思ってまして…。
蓮風 あー、そうですか。
児玉 ええ、今はまたちょっと考え方が少し変わってきてまして。
蓮風 ちょっとずつ変わりますでしょ。
児玉 はい、変わってきてますねぇ。
蓮風 やっぱりねぇ、色んな患者さんに出会って自分の世界が変わっていくからでしょうね。
児玉 先生にお会いして色んなお話をさせていただいたのが一番大きいかと。
児玉 やっぱり「藤本漢祥院」で学ばしていただいたことっていうのは、医学そのものもそうですし、哲学的って言うと変かもしれないですけれど、どういう風に患者さんっていうか、人間を捉えるかっていう所とか。
蓮風 そこ、そこですね。人間観ですね。
児玉 そういう所をですね、すごく学ばせていただいてます。
蓮風 いやぁ、嬉しいですわ。優秀な方ですからね。せっかくここまで西洋医学をやっておられて、東洋医学をもっと深く学ばれたら、恐らく先生自身がさらに変わっていくだろうと思います。今の段階で、ここまで来ているのですから、まだまだ変わっていかれるはず。それは僕も楽しみなんです。
児玉 有り難うございます。
蓮風 ちょうど自分の子供を育てるような気持ちで、色々と「こんなんもやれ」「あんなんもやれ」「どう考えますか」っていう課題を出していくのも楽しい。そして、その中で先生が大きくなられるのを見るのが一番の楽しみです。ただ、そういう意味で長い付き合いになると思います。よろしくお願いします(笑)。
児玉 有り難うございます(笑)。先生も同じだと思うのですが、僕らが本を書くっていうのは自分たちが信じる医療を世の中に広めていきたい、より良い医療を受けられる人が増えていってほしいっていう思いからなんです。やっぱり先生が僕らに色々と伝えてくださるということからも、そういう思いをすごく感じてまして、そういう面でも勉強させていただいています。
蓮風 なるほど。〈続く〉