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藤本蓮風さん(写真左)と川嶋朗さん(同右)=奈良市「藤本漢祥院」
鍼(はり)の知恵を語る「蓮風の玉手箱」をお届けします。東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授の川嶋朗(かわしま・あきら)さんと、鍼灸学術団体「北辰会」代表の藤本蓮風さんとの対談も14回目となって終盤に近づいてきました。今回の中心テーマは「サプリメント」。ハーブもサプリメントの一種と言えて、伝統医療にも関係するようです。そして、「薬」とも言えるので、やはり利用する場合には心がけないといけない点もあるようです。(「産経関西」編集担当)


蓮風 先生はよくサプリメントを使っておられるみたいですが、我々にはよくわからないんです。サプリメントを使う根拠は何ですか?
川嶋 予防の原則は生活改善です。その柱の一つが食です。ただ、現代食には問題があって、三大栄養素(糖質、蛋白質、脂質)を十分にとっても、その代謝に必要な副栄養素(ビタミン、ミネラルなど)が一般食材に十分に含まれていません。十分に含まれているようなものはそれなりに価格が高い。全ての栄養素を自然の食材から摂るのが理想ですが、国民全員が高級食材を摂るのは不可能です。だから少々卑怯な手段ではありますが、サプリメントが必要になってくるのです。
蓮風 あれはもともとアメリカですか。
川嶋 ビタミン・ミネラルについては基本的にアメリカです。もちろんビタミン・ミネラル以外で、健康増進のために食物繊維やEPA(エイコサペンタエン酸)などを予防のために摂取することもありで、さらに、病気になったときには西洋薬並に効果のあるサプリメント、ヨーロッパではハーブが選択されることも少なくありません。
蓮風 ああ、そうですか。
川嶋 ハーブについてはアメリカというよりヨーロッパです。植物療法というヨーロッパの伝統医療の一つです。
蓮風 伝統医療ですか。

蓮風 我々は、よく聞かれるんですよ。サプリメントを飲んでいるけれども、これいいかと。サプリメントに対する基本的な考え方というか教科書みたいなものはあるのですか。
川嶋 もちろんです。口から入るものですから、医薬品と同じような臨床試験をすることも可能です。臨床試験の結果、個々のサプリメントの効果・効能が書かれた文献がどんどん増えています。
蓮風 結局、サプリメントは薬と捉えていいですか。
川嶋 ある意味、薬ですね。漢方薬だって多くは植物から抽出されたもの、ヨーロッパで言ったらハーブに相当します。ハーブはサプリメントの範疇(はんちゅう)に入りますから。
蓮風 漢方の場合は、漢方の理論でちゃんとまとまっていますからね。いいんですけれど。サプリメントの場合は、基準になるようなものはあるのですか。
川嶋 漢方薬のような理論体系はないですね。
蓮風 ないのが本当ですか。
川嶋 理論体系はありませんが、科学的に臨床試験などで有効性が定められているものもあります。
蓮風 先生たちは、どういうものが入っているのかは成分でもって見ておられるのですか?
川嶋 ビタミン・ミネラルについては何がどのくらい入っているのかはしっかり見ます。ところが、原材料が書いてあっても、その有効性については全くわからないものも少なくありません。ところが、たとえば患者さんに、なぜこれを摂っているのですかと尋ねるとほとんどの患者さんが、ある人が良いといったから摂っているとおっしゃいます。勧める人を信じ込んでいるんです。
蓮風 なんか信仰みたいになってるよね。
川嶋 基本的にはなぜ良いのかを知って摂るべきでしょう。たとえば、僕は食事を摂る時に、食物繊維を先に摂るんです。でも、あまりにも外食が多くてですね、繊維質のものが上手く摂れてないものですから、サプリで食物繊維を補っています。これが卑怯な手段です。
蓮風 なるほど。それで卑怯か。
川嶋 本来は食物繊維の多い自然の食材から摂るべきなんでしょう。でも仕方がないからサプリメントでカバーしています。
蓮風 そういう事を専門に指導できる人がおるんですか? あなたの身体にはこのサプリメントが良いとかなんとか。
川嶋 やっとNR・SAなる資格が…。国家資格ではないのですが、元々国立健康・栄養研究所の事業が日本臨床栄養協会に移管され、制度化されています。その他にも、いくつかの団体が、資格制度を作っています。
蓮風 ある事はあるんですね。それは信用できますか?
川嶋 制度は信用できても、資格を持っている人間が信用できるとは限りません。やはり、お金がからむことなので。
蓮風 結局、薬を売買することによって成り立つ人たちやから。
川嶋 粗悪なものもありますし…。〈続く〉