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藤本蓮風さん(写真左)と関隆志さん=奈良市「藤本漢祥院」
鍼の知恵を語る「蓮風の玉手箱」は、東北大サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター(CYRIC)高齢者高次脳医学研究部門講師の関隆志さんと、鍼灸学術団体「北辰会」代表で鍼灸師の藤本蓮風さんとの、お話の第7回目となります。今回は医師が東洋医学に取り組む際の“注意点”がテーマです。東西の両医学が併存する意義にも話題が及んでいます。(「産経関西」編集担当)
蓮風 これから鍼灸・漢方を志されるドクターも、たくさんいると思います。そういう方たちに何か「これだけは押さえといてくれ」といったことなど、おっしゃりたいことは何かありますか。
関 先生もおっしゃたように、どうしても医者というのは、つい、自分が偉いんだと、やっぱり思ってしまうんですね。ですからまぁ、謙虚に学んでほしい。何でも学ぶときは謙虚でなければ学べませんからね。
蓮風 そらねぇ、僕が今から50年前に鍼灸学校へ行っとった時のこと思ったら、ずいぶんドクターの態度も変わりました。やっぱり正直にものを言ってくれるようになりましたよ。上からものを言うっちゅう態度はまだまだありますけども、やっぱり医療として患者さんを治す立場は違うけども学ぶべきことがある、ということを少しずつ気づかれているようですね。
関 はい。
蓮風 そのほかに何かないでしょうか。
関 あとはですね、私の勉強した時のことを考えると、やはり優れた先生につくというのが大事だと思います。
蓮風 そう、それなんですよ。本当に数はいるんだけどもね…。こういう言い方したらいかんかもしれんが、本物っちゅうのは実際少ないですね。言っていることと、やっていることが全然違う人物もいます。そういう人々がけっこう学会で偉そうにしている。そういう調子ではやっぱり駄目なんですよね。限りなく本物に近い先生を知り合いに持つ何か良い方法はありますか。
関 私の場合はですね、たくさん患者さんが来る所というのを一つの基準にはしました。
蓮風 ああそうですか。
関 あとは口コミで、誰か、凄(すご)い先生いませんかということで、それで(蓮風)先生を紹介していただいて(笑)。
蓮風 (笑)。まぁでもね、今の鍼灸界は、なかなか不純なものがありまして、患者さんはたくさん診てるけど実際にやってることは、本当にあれが鍼灸かな、というようなのがけっこうあります。あるいは、整骨院などが保険を適用させて手技治療して、その場合に鍼を“サービス”としてタダ、あるいは極めて低料金でやる人がいる、人を集めるために…。だから人が集まってるからといって必ずしも腕があるとは限らない。これは業界で物凄く大きな問題やと思うんですよ。
関 そうですね。
蓮風 私はむしろそれよりも、この先生は本当に素晴らしいんだなと思ったら体当たりでぶつかって、その先生のやってることをつぶさに見て、人の噂とか本じゃなしに、自分で確かめることが大切やと思うんです。そして、できたら実際に関先生のように私の鍼を受けてみるとか、これが非常に大事なことやと思うんです。「北辰会」のドクターコースのドクターも、ほとんどの方が私の鍼を受けてます。鍼灸師でもドクターの方でも、これはと思う先生にやっぱりアタックして直接見聞きして、そして自分が体験することが大事やと思うんですが。それでいいでしょうか。
関 そうですね。
蓮風 それから最初のほうの話に関わってくると思いますが、西洋医学は高度に発達してると見なされる中で、鍼灸・漢方などの東洋医学の存在理由は何だと思われますか。
関 一言にすれば、人間というものを違う観点で診る、これは物凄く大事なことです。要するに物事っていうのは一つの側面から見たのでは、すべてを、見ることできません。ですから西洋医学と違うっていうことが、少なくとも、それだけで存在意義だと思います。〈続く〉
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