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藤本蓮風さん(写真左)と川嶋朗さん(同右)=奈良市「藤本漢祥院」
鍼(はり)の知恵を語る「蓮風の玉手箱」をお届けします。東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授の川嶋朗(かわしま・あきら)さんと、鍼灸学術団体「北辰会」代表の藤本蓮風さんとの対談も、ひとまずは最終回です。日本の財政を圧迫する医療費の削減の重要性を説く川嶋さんはこの対談でも、患者が賢くなる必要性を強調しました。今回はその締めくくり。お医者さんの「念のため…」は要注意かもしれません。(「産経関西」編集担当)


川嶋 ある厚生労働省の方から聞いたんですけれども、通常の医療でないものを全然認めないと国民に対して申し訳がたたないけれども、認めてしまうと、今度は認めた責任が生じる。…ということは、責任を取りたくないから中途半端が一番良いんだという本音を語っていました。
蓮風 卑怯なやり方ですね。
川嶋 赤字国債は膨らむ一方です。これは、すべて次世代への借金です。抑えられる支出は抑えなければなりません。医療費を下げることは国民一人ひとりの努力で不可能なことではないんです。これがおそらく一番に考えねばならないことではないでしょうか。行政は患者の自己負担率を上げたり、保険の点数を下げたりするだけ。医者の方はどんどん点数が削られてくるものだから、薄利多売しようとします。
患者さんの話など聞いている余裕はありません。患者中心の医療などどこかに行ってしまいます。いつまでも医者に依存していたら、この国はいずれ滅びます。
蓮風 そういう意味でも患者は賢くならなければいけないですね。
川嶋 もちろんです。
蓮風 病院行って薬もらったらそれでいいんやという安易な考えではいかん。
川嶋 そうですね。「薬はこれだけしかくれないんですか?」なんて言う患者さんすらいます。たとえば、一番単純な病気で風邪がありますね。風邪をひいて病院に行くと、日本では、抗生物質が処方されることが少なくありません。世界の7割の抗生物質は日本で消費しているという事実もあるんです。

川嶋 それなのに処方されるというのは、風邪じゃなかったらどうしようと考えるからなんです、本音は。もしも患者さんが肺炎で、抗生物質を出さずに帰して家で死んで訴えられたら負けるわけです。誤診ですから。ところが、風邪だと診断しておいて抗生物質出して、風邪で死ぬ人はまずいませんから。治りが悪かろうが、訴えられっこないんですよ。
だから、実力のない医者ほど抗生物質を出します。これが日本の医療の縮図みたいなものです。エクスキューズ医療です。患者さんの方は医者にお任せですから、抗生物質を飲んでも治らないというのは当たり前です。だから患者さんは賢くなって、たとえば「先生、私の診断は何ですか?」と聞いて、「風邪だよ」と言われ、処方箋(せん)に抗生物質が書いてあったら、「じゃあ何で処方箋に抗生物質があるんですか。風邪には抗生物質が無効だと呼吸器学会、感染症学会も言っているではないですか」と言うべきでしょう。こう言われた医者はぐうの音も出ないはずですよね。怒ってしまうかもしれませんが。でも、それぐらい患者さんには賢くなって頂きたいということです。
医者の「念のため」という言葉は、患者さんのためではなく医者自身のためであることが少なくありません。医者が「念のため、この検査しておきましょう」って言ったら、この医者のためという事です。本来なら診ただけで検査が必要か否か分からなければなりません。自信がないか、あるいは検査で儲けようとしているからそういうこと言うのかもしれません。
「念のため、この薬を出しておきましょう」っていうのは、それこそ自信がないが、この薬を出しておけば訴えられることにはならないだろうと思ったときの発言かもしれません。その言葉を使う医者ほど、力がないんだなと思います。患者さんはもっと賢くなって、医者の言っている言葉の裏の意味を解釈して欲しいですね。
蓮風 分かりました。色々伺っていて面白いのですが、最後に鍼灸師の話ですけれども、結局のところ、現在の鍼灸師は根本の所で何をやったら、その存在理由を説明できると思いますか。
川嶋 やっぱり医者にできないことをやって欲しいですね。
蓮風 そういうことですね。だから、私が難病を治すのが面白いと常々言う理由はそこなんですね。
川嶋 本当にそう思います。そういう症例が事実として目の前に出てくれば、これでもか、これでもかと出てくれば、エビデンス云々という話ではなくなっちゃいますよね。
蓮風 そうですね、分かりました。また機会があれば是非ともまた出て来ていただきたいと思います。
川嶋 時間ができたらまた勉強に来たいと思っています。
蓮風 非常に面白い話でした。ちょっと私のイメージと違っていましたけれどもね。<了>
★次回から名古屋・名鉄病院小児科医師の鈴村水鳥さんをゲストにお迎えします。

















